よむ

小さいおうち

小さいおうち





戦前、戦中、戦後の東京の街の様子や人々の暮らしの移り変わりがよく描けている。
私もタキさんならあの赤い屋根の家にずっといたいと思っただろう。
最後まで読んで改めて装丁をまじまじと見た。




ひとつ疑問に思ったことが。
板倉さんが出征の為田舎に帰る前の日に奥様は板倉さんに会いに行こうとするのだけれど、タキさんはそれを止めて板倉さんの方が会いにくるようにと手紙を書いて私がそれを渡しに行くと言うやり取りがあって、翌日その手紙の指示通り板倉さんは奥様に会いに来るのだけれど、結局その手紙は板倉さんに届けていなかったことが60年後に判明する。
これはどういう意味だろう?
タキさんが変な気を回すまでもなく、二人は愛し合っていて、板倉さんは手紙など受け取らずとも自らの意志で奥様に会いに来た、と私は解釈したのだけれどなんだか腑におちない。